オーストラリア最高峰のコーヒー競技会の決勝直前、バリスタのティリー・スプロールさんは勝利に欠かせない材料を買いだめした。9キロ近いドライアイスを購入したのだ。ドライアイスを詰め込んだ箱にコーヒー豆の入ったプラスチックの小瓶を差し込んだ。豆を氷点下に冷やすためだ。豆をもろくし、常温でひく時よりも均等な粉になるようにしたかった。極上の1杯をいれるには欠かせない条件だという。「舞台裏は面白い。5つか6つ冷凍庫があると思う。みな流行に乗っている」とスプロールさんは述べた。コールドブリュー(水出し)は過去の話だ。コーヒーの世界で今はやっているのは本当に冷たい豆だ。豆を冷やすのは、より良い粉がひけるからだけではない。一部のコーヒーショップでは最高級の豆を数カ月、さらには数年もたせるため冷凍している。通常、焙煎(ばいせん)した豆が最高の美味しさを保てるのは2週間以内とされている。冷凍豆の推進派は、コーヒー愛好家がワインを選ぶように長いコーヒー豆リストに目を通し、さまざまなビンテージを試せる日を思い描いている。