図のIQの相関は、一卵性0.72、二卵性0.42となっている。ここから前述の考えに沿って計算していくと、個人差の60%は遺伝によって、12%は共有環境、28%は非共有環境によってつくられていると分かる。複雑極まりない遺伝や環境の寄与が、こうした単純な式によってざっくりと把握できるのである。

 ただし、ここでも注意が必要だ。共有環境、非共有環境の効果の大きさは、あくまで統計処理ではじき出された数字であり、具体的にどんな環境が影響を及ぼしているのかは教えてくれない。家族の共有環境であっても、親のしつけなのか、声掛けなのか、何が影響したのか、その中身は分からない。

勤勉性などパーソナリティも
生まれながら

 下の表は、さまざまな量的形質についての遺伝率の研究成果を、安藤教授が取りまとめたものである。