遺伝のホントを明らかにする双生児研究の世界をご紹介しよう。学力、性格のほか、発達障害、物質依存、問題行動などについても生まれつきの部分に大きく影響されることが分かってきた。
フランシス・ゴールトン(1822〜1911年)は、英国の遺伝学者。統計学の分野でも貢献したが、悪名高き「優生学」でも知られる。Photo: Mary Evans Picture Library/アフロ

 行動遺伝学では「3原則」と名付けられたテーゼがある。

 第1原則「全ての行動は遺伝的である」(遺伝の普遍性)

 第2原則「家族が類似するのは環境が類似するからではない」(共有環境の希少性)

 第3原則「個人差の多くは一人一人に固有の環境による」(非共有環境の優越性)

 行動遺伝学でショッキングなのは、遺伝の普遍性だけではない。第2原則の共有環境の希少性も、親にとっては衝撃だ。親の子育ては、子どもの個人差、どう育つかにあまり影響していないというのである。

 なぜ、そういえるのか。行動遺伝学の根拠となるのは、双生児研究だ。創始者はチャールズ・ダーウィンのいとこでもあった、フランシス・ゴールトン(写真)である。