経営×経理

 しかし、その他の面においても、育成する側である上司があたってきた方法、価値観などを丸ごと教え込み、まるで前任者のコピーをつくるようなやり方では、育成される側ならではの個の潜在能力が表出する機会を失いかねず、人材活用の面で大きなマイナスが生じる危険性が十分に考えられます。

 育成される側が経理部の中心的存在になる頃、現行よりも生産性が向上していることや、企業価値が高まっていることをイメージしながら、上司は謙虚な姿勢で育成に当たり、後進が自身を追い抜いてくれるような方法を模索して進めることを念頭に置かなければならないでしょう。

 特にOJTなどを行う場面で、当事者同士に任せているようなケースがあれば、人事部員などの第三者が現状チェックを行う体制にするなど、早急な見直しが必要です。

【再考ポイントその3】
実際に行なった育成策の
効果を検証しているか

 部下の育成を「ここがゴール」と決めることなど困難なのでしょうが、ある程度の段階になったら、育成の効果が表れているかを検証することは必須です。

 たとえば、1人の上司のみならず複数の上司の評価も併せ見ながら、厳正に検証を行うような体制にして、「具体的に何を実行・達成すれば報酬にもこれだけ反映させる」といった具体的な基準を設けなければ、育成策そのものが形骸化し、部下のモチベーションも下がってしまうことが容易に考えられます。

 ただ注意すべき点は、あまりに細分化された検証方法を取り決めてしまうと、型にはまった人材を輩出するためのプログラムになってしまう危険性があることです。ある程度の柔軟性も含めた体制が望ましいでしょう。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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