配車アプリの事業責任者に直撃 激戦を勝ち抜く秘策は?

 昨年末に行った「0円タクシー」キャンペーンは、狙い通りの成果でした。特徴的なのは、東京でしかやっていないのに、知名度が上がって神奈川の実車数が爆発的に伸びたこと。しかも、ほとんどが普段タクシーを利用していない人です。

 タクシーがまだ“ぜいたく品”と思われている中で、配車アプリによって利用者の裾野を広げられるという証明になった。これは事業者にとってもメリットですよね。

 定額型やロイヤルカスタマー向けプランといった料金体系の多様化も考えていますが、いろいろチャレンジをしていきます。もちろん、合法的に。

 MOVの強みは「アプリ連携方式」です。日本では長らく、無線連携方式といわれる、配車情報を人と無線機を経由して車に送る方法が一般的でした。ですが、これだと配車のダブルブッキングや、実車中のタクシーに配車の呼び出しが掛かるといった問題が発生します。

 アプリ連携方式では、車に搭載されたアプリと利用者のアプリが直接つながるため、こうしたトラブルを回避できます。

 さらに従来の無線機とスマートフォンでは、20年前のパソコンと現代のスパコンぐらい性能に差があるので、車側で処理できる情報量やマッチングの精度がまるで違います。実際に、アプリ連携方式を昨年採用してから、実車数が一気に増えました。

 各社がAIによる配車を打ち出していますが、そのレベルはまちまち。MOVでは需給予測に基づく全体最適を重視します。

 つまりアプリ経由の配車の最適化だけではなく、流しや駅待ち、電話配車、さらには時間帯によるピークも考慮してアプリ導入車にルートやスポットを提案する、タクシー全体の最適化です。こうした統合ソリューションを今年中には展開して、他社との差別化を図ります。(談)

タクシーと運命共同体
Uberジャパン モビリティ事業ゼネラルマネージャー
トム・ホワイト