中国の李克強首相は2019年にいくつか目指すものがある。債務抑制、減税、政府の債券発行加速、そして中小企業への融資拡大だ。要求が多いうえに自己矛盾を抱えているように見えるが、まさにその通りだ。こうした目標の一部は頓挫するだろう。全体的な信用拡大が進まないまま、銀行に中小企業向け融資を促すのは不可能に近い。政府が債券発行を大幅に増額すれば、金利が上昇して成長を一段と圧迫することのないよう、銀行システムの流動性を拡大する必要が生じる。それはつまり、さらなる金融緩和を意味する。2015年のような洪水のごとき緩和ではないだろうが、上げ潮になることは間違いない。中国政府は過去10年間に2回にわたって実施した刺激策について、多くの不良債権が発生する原因になったと認めているが、その認識は正しい。刺激策の大部分は政府予算から資金を拠出し、国有銀行を通じて国有企業に融資された。今回の刺激策はさらに多くを政府のバランスシートに頼っている。李克強首相は5日の政府活動報告で、中国の2019年経済成長率を6〜6.5%に維持するため、今年の法人税や企業の社会保険料負担を総額約2兆元(約33兆3800億円)引き下げると表明した。さらに、地方政府が主にインフラ整備を目的として資金を調達する「特殊目的債券」の発行枠を18年から6割近く増額し、2兆1500億元とした。