中国の習近平国家主席は2012年にトップの座につくと、直ちに臨戦態勢に入った。中国共産党を手なずけ、そして国民をとりこにする必要があった同氏は薄熙来や周永康といった腐敗した党の有力者を失脚させることで最初の目的を達成し、拍手喝采を浴びた。習氏は自身が掲げる「チャイナドリーム(中国の夢)」構想について「中華民族の偉大な復興」だと定義付けし、外国の侵略者による屈辱の歴史、すなわちアヘン戦争や外国の統治領、日本による占領などを学校で子供たち一人一人にたたき込んだ。中国はついに心の重荷を完全に取り払ったのだ。党内の懐疑的勢力でさえ同氏のハイパーナショナリズム(過度の国家主義)に賛同した。容赦なく吹き込まれ、人々の精神に染みついた政治スローガンに逆らえる者などいない。習氏のメッセージを最もうまく表現したのが「4つの自信」だ。それは中国独自の社会主義路線、中国の政治理念、中国の政治システム、そして(最も心に響くのが)中国5000年の文化に自信を持とうというものだ。「中国は強大な国家」で米国に比肩しうるという考えは今や中国全体を覆いつくしている。こういう話を中国人は聞きたいのだ。