Jリーグ「V・ファーレン長崎」社長の高田明氏(高の文字は、正式には“はしご高”)。スポーツ小説の旗手として意欲的に作品を発表し、2月末には“球場が主役”の小説『ザ・ウォール』を刊行した作家・堂場瞬一氏。新機軸を次々に打ち出すサッカークラブの経営者、スポーツの魅力や問題点を様々な切り口で描く作家、それぞれの立場からスポーツにかかわる二人が、これからの日本におけるスポーツ振興の形を、縦横に語り合いました。(撮影/泉山美代子、構成/高中佳代子)

高田明氏と堂場瞬一氏Photo by Miyoko Izumiyama

観客数倍増の背後にある事情

高田 今夜、Jリーグマスコット総選挙の9位から4位までが発表されるんですよ。V・ファーレン長崎の「ヴィヴィくん」は中間発表では2位でした。(編集部注:取材日は2月13日)

堂場 そこで名前を呼ばれなければ、ヴィヴィくんは3位以内が確定ですね。

高田 中間発表の1位は名古屋グランパスさんのグランパスくんで、ちょっとさすがにトヨタさんには負けてますけど(笑)。(注:最終結果でヴィヴィくんは2位)

堂場 ユニークかつ豊富なアイデアで、サッカー界に新風を吹きこみ続けておられる高田社長、今日は「スタジアムと集客とファン」について、お話を聞かせてください。スポーツをビジネスとして捉えるとき、これは一番大事なポイントじゃないかと思えますので。

 それで、のっけから観客数の話で恐縮なんですが……V・ファーレン長崎が昨シーズンJ1に昇格した一年間で、ホームゲームの平均入場者数が1万1500人。J1の18チームで最下位でした。でも、一昨年のJ2時代に比べると2倍なんですね。

高田 増えているのは、県内よりもむしろ、県外からの、アウェイのお客さんなのです。

堂場 意外ですね。マスコット人気も高く、地元密着型のクラブという印象がありますが。