隈研吾氏がデザインした「南三陸さんさん商店街」隈研吾氏がデザインした「南三陸さんさん商店街」。開業2周年を迎えた3月3日は、スケルトンの休憩スペースががほぼ満席になった=南三陸町志津川 Photo by N.O.

 街を元に戻そうと、道路や「復興商店街」の整備が進められ、志津川港には高さ8.7メートルの防潮堤を約30メートルにわたって建設する計画も作られた。

 3月1日、町を訪れたが、商店街は開業2周年イベントを2日後に控え、準備に追われていた。一見すると復興は順調そうだ。防潮堤の周辺工事も2019年度の完成予定で始まっている。

 だが、なにやら地元の住民の思いと違った動きも起きている。

 防潮堤工事の「異変」に気付いたのは、地元で環境アセス関係の仕事を請け負う鈴木卓也さん(47歳)だ。

 今年1月11日、港に続く八幡川の河口付近で、数台の重機が土砂を入れていた現場を見た時だった。

「ずいぶんおかしな場所で、工事をしているなあ」

 県と地元のまちづくり協議会が、2015年8月に合意した防潮堤の整備計画では、防潮堤は、浜辺を残すために、海岸線から離れた陸地側に、しかも陸地側に膨らむような形で曲線的に建設されることになっていた。

  県の当初案では、防潮堤は水際に沿って、直線に建設することになっていた。これでは、海と浜辺が分断してしまうと、地元が反対し、2年半もの話し合いをへて、防潮堤の位置を陸側に30メートルほど後退(セットバック)させ、浜辺が残るようにしたのだ。

 もともと河口付近は、国定公園に指定された「松原公園」があった。志津川湾には、200種類におよぶ海藻や、豊かな海洋生物の存在が認められ、ラムサール条約湿地にも登録されている。

 大津波で浜辺はえぐられたが、翌年には海辺の生態系の回復が確認され始めていたこともあって、地元には浜辺を残したいという声が強くなっていた。