デサントPhoto:DOL

伊藤忠は1月末、持ち分法適用会社でスポーツ用品大手のデサントに対し、敵対的TOB(株式公開買い付け)の実施を決定、今日(3月14日)その期限を迎える。これが成立すれば日本では実に8年ぶり、大手企業同士では初めてのことだ。その期限を前に、両社は水面下でさまざまなバトルを繰り広げていた。(ダイヤモンド・オンライン副編集長 田島靖久)

臨時株主総会請求を
ちらつかせ決断迫る伊藤忠

 デサントを相手に異例の敵対的TOB実施に踏み切った伊藤忠が、買付期間の締め切りである今日(3月14日)を前に動き始めている。関係者の話を総合すると、早ければ締め切り翌々日の16日にも臨時株主総会の開催を請求するとの情報があるからだ。

 デサントの定時株主総会は6月。それより前に、伊藤忠が臨時株主総会を求めるということは、「早期に現経営陣を全て刷新し、伊藤忠主導で戦略を全て見直す」ことを意味する。

 TOBが成立、株式の40%を握られることがほぼ確実視される中で追い込まれているデサントは、この期に及んでも臨時株主総会を回避し、できるだけ穏便な形による解決を模索していた。にもかかわらず、臨時株主総会請求の可能性が高まってきたとの情報に触れたデサントの経営陣は慌てる。そこですぐさま伊藤忠に電話をかけ、真意をただすとともに会談を申し入れた。

 ところがその答えは、「TOBの買い付けが終わった後なら会ってもいい。しかし、その際はしっかりと腹を決めていただきたい。さもなければ、臨時株主総会を請求する」と強硬姿勢を堅持した。