米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、就任から一年足らずで、最初の正念場を迎えている。FRBに対しては、昨年12月の利上げ以降、エコノミストや市場関係者から、行きすぎとの批判が高まった。ドナルド・トランプ米大統領からFRB理事候補に指名されたスティーブン・ムーア氏もその輪に加わった。債券市場では、リセッション(景気後退)の前兆とされる長短金利の逆転(逆イールド)現象が発生。フェデラルファンド(FF)金利先物市場はFRBが年内に利下げする可能性を織り込んでいる。だが、だからといって、FRBに批判的な向きが正しいという訳ではない。問題は、適切な理由から彼らが正しいかどうかだ。その基準に照らせば、大半は正しくない。特にムーア氏の理論では、米経済が1930年代以来の深刻な景気後退に陥っていた2008年に金融政策を引き締めることになり、FRBをひどく間違った道へ向かわせていた可能性がある。
パウエル氏批判は的外れ、見習うべき「軌道修正」
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