世界景気の先行指標として注目される銅相場は高値圏にある。

 銅は、2017年にEV(電気自動車)関連商品の一角と見なされ、相場上昇に弾みがついた後、18年6月にはチリの大鉱山でのストライキ懸念から1トン当たり7300ドル台の高値を付けた。

 その後、18年後半は、最大消費国である中国の景気が減速する中、下落傾向で推移した。19年に入ると、中国の製造業PMI(購買担当者景況指数)が悪化したことや、米アップルによる売上高見通しの下方修正など悪材料が重なり、1月3日には銅相場は5725ドルの安値にまで下落した。

 しかし、1月4日には、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が利上げやバランスシート縮小について必要ならば政策スタンスを大幅に変更する用意があると述べたことで、金融市場、コモディティ市場の投資家心理が回復し、銅相場も上昇に転じた。

 1月中旬には、米中貿易協議について、両国が歩み寄りの姿勢を見せているとの報道が、下旬には、FOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文が予想以上にハト派的だと受け止められたことが続伸する材料になった。

 2月上旬は、米中貿易協議への期待が押し上げ材料となったものの、世界景気減速懸念が下押し材料となり、一進一退であった。