この常識が一変する。新センサーを使えば、「おいしさ」を決める糖度や酸度、「機能性」を決めるリコピンなどの成分を正確に測定できるからだ。

 ある農業ベンチャー社長は、「技術革新が遅れた農業業界では、正しい、品質が良い、安全だと消費者が信じてきたことが、実は間違っていたり、根拠に乏しかったりすることはよくある」と言い切る。

 農作物の売り手と買い手との間に、「情報の非対称性(情報格差)が生じている」ことも多い。むしろ、その非対称性を解消するところにビジネスチャンスがある。

 ハッピークオリティーによる「トマト評価の新基準」もまた、情報の非対称性を解消するツールであるといえる。

 みずみずしさ、甘味と酸味のバランス、加熱処理したときのおいしさ──。本当に顧客が望むトマトができたのかどうか、農家は正確な基準や情報を使って証明できるからだ。そうすれば、トマトは高値で売れるはずだ。

 そして、面白いのは次の展開だ。

 新センサーは、トマトの品質を可視化するだけではなく、生育方法のデータ取得にも利用できる。将来的に、高品質なトマトを栽培するマニュアルを確立。「農家をフランチャイズ方式で組織化し、誰でも簡単に高単価トマトを作れる環境を整えたい」(宮地社長)とのこと。

 ハッピークオリティーは、評価基準と栽培方法を刷新し、トマトの生産革命を起こそうとしている。

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