
4月17日、セブン&アイ・ホールディングス傘下で国内コンビニエンスストア事業最大手のセブン-イレブン・ジャパンは阿久津知洋執行役員が代表取締役社長に就任すると発表。同時に社内体制の変更を公表した。一連の刷新に透ける、永松文彦社長の下で行われた肝いり施策の失敗と、体制変更の狙いを詳報する。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
セブンーイレブン・ジャパンで新社長誕生
「永松体制を清算」の狙いは?
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は4月17日、国内コンビニエンスストア事業を行うセブン-イレブン・ジャパンの新社長人事を発表した。
5月15日に予定されている株主総会の承認をもって、代表取締役社長の永松文彦氏は取締役会長に引き、執行役員で建築設備本部長の阿久津知洋氏が代表取締役社長となる。
これに先立って、3月にはセブン&アイHDのトップ交代も発表している。株主総会の承認後に現在、代表取締役社長の井阪隆一氏は特別顧問となり、筆頭独立社外取締役として取締役会議長を務めるスティーブン・ヘイズ・デイカス氏が代表取締役社長兼 CEOとなる。
長年、大手コンビニエンスストアの中で圧倒的首位を走ってきたセブン&アイHDだが、近年は主軸の国内事業で業績不振に陥っている。4月9日に発表された2025年2月期決算では、営業収益は前年同期比4.4%増の11兆9727億円となったが、最終利益は同比23.0%減の1730億円。国内コンビニエンスストア事業の営業収益は同比1.9%減の9041億円となった。
同社は相次ぐトップ交代によって国内事業の立て直しを図り、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから受けている買収提案に対抗する腹積もりだ。中でも主力事業であるセブン-イレブン・ジャパンの回復は最重要課題といえる。
その証拠に、前述したトップ人事と並行して、社内体制を大きく刷新したことが、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料により明らかになった。次のページで、新体制の図解とともに、社内序列の変化について詳報する。