無人で稼働するクボタのトラクター。クボタは自動運転トラクターのモニター販売を始めた。
写真提供:クボタ

 JAグループなど農業界の守旧派と上手に距離を置いて付き合う“与党”としての貫禄を見せつけたのが国内農機最大手のクボタだ。「農機・ロボット区」と「見える化ツール区」で、上位をほぼ独占した。

 自動運転トラクターの開発成功物語を描いた、TBS系連続ドラマ「下町ロケット」はクボタの農機で撮影されたのだが、現実の世界でも同社の技術は急速に普及している。

 例えば、自動で真っすぐに走る田植機の販売台数は2018年、前年比75%増の1590台を達成した。農機の運転実績などから集めたデータをクラウドに蓄積し、農業経営に生かす「KSAS(ケーサス)」の利用契約数も前年比36%増の6777件になった。

 クボタのKSASの弱点は、同社が農機の販売を頼っているJA全農に遠慮して、全農とバッティングする農産物の販売支援までは行っていないことだ。

 近年、「流通×テック領域」で農業界の新基盤(プラットフォーム)を打ち立てようとする動きが活発化している。川上(生産)から川下(農産物の販売)までを一気通貫で支援するサービス提供者が、農業界のプラットフォーマーとなり得るのだ。

 すでに、大手米卸の神明がドローンを活用した農家支援や外食店の経営に乗り出し、一気通貫のサービスを始めている。農業業界の勢力図がテクノロジーの進化で塗り替えられようとしているいま、クボタとて安泰とはいえない。

 また、今回の特徴として外せないのが、ドローンの加速度的な勢力拡大である。本誌が昨年、作成した同様のランキングで、ドローンは中国最大手、DJI製が2票を得ただけだったが、今年はDJIが8票(農機・ロボット区7位)を獲得。その他のメーカー製も合計12票を集めた。

小規模農家の救世主となる
収量予測ソフトも