ファームノートの牛群管理システムは、牛の首に巻いたデバイスから得る情報で発情などを予測。Photo by T.S.

 IT企業が開発した農業経営管理のクラウドサービスも急速に普及している。クボタのKSASに先行されていた農機との連携も進んだ。ウォーターセルの「アグリノート」(見える化ツール区4位)が井関農機と三菱マヒンドラ農機のデータと自動でつながるようになり、ソリマチの「facefarm」(同区7位)がヤンマーの農機と連動した。

 さらに注目すべきは会計ソフトが台風の目になる可能性だ。

 会計ソフト「freee」(同区6位)は農家が肥料を購入した際の領収書をスマホで撮影すると、会計データに自動変換して会計書類を作成するシステムを提供する。

 そのfreeeが2月14日、ソフトバンク・テクノロジーや農産物販売アプリのポケットマルシェ、老舗農業ベンチャーのマイファームなどと、一気通貫のサービス提供に向け協業すると発表した。

 このアライアンスの関係者は、「インターネット上に農協をつくるようなものだ」と豪語。JAグループのビジネスモデルに対抗できるプラットフォーマーを目指す覚悟を語っている。

 IT企業が持つ最先端の人工知能(AI)が農業で実用化できれば、農家が取引の領収書をアプリに読み込むだけで、より有利な資材の調達先や農産物の販売先をアドバイスできるようになるという。

 生産現場の環境をセンシングして経営に生かすテクノロジーも進化している。

 ビニールハウス内の温度や湿度を測る「プロファインダー(同区17位)」を提供する誠和は、従来の生産性向上だけではなく収量予測のソフトウエアを開発。実証試験では、94%の確率でトマトの年間収穫量を予測できたという。

 クラウドサービス、AI会計ソフト、収量予測ソフトといった革新的な農業ツールは、販売先や機械メーカーと対等に交渉できなかった小規模農家の経営を好転させる「魔法のつえ」となりそうだ。