桑津 その昔、東京オリンピックでセコムが警備保障会社として活躍し、一躍有名になりました。50年目の2020年の東京オリンピックをもう一度、AIと画像をつかって、安心安全な社会を実現する契機にできればいいなと思いますね。

秋山 一般人の心理としては、どうしても、データを勝手に使われているのではないかと考えがちなので、企業は消費者が安心してデータを預けられる「信頼性のあるブランド」となることが必要ということでしょうか。

桑津 その会社がデータをいい形で使えるかどうか、その会社を信頼できるかどうか、ですね。

秋山 GAFAなどにデータを握られることへの忌避感情や特定の会社にデータが集中し市場の寡占が不可欠であることを危惧する動きもあり、独占禁止法のようなもので強者を分割するのはどうかといった話も出てきています。一方で、思考実験としては、いっそ、すべてのデータをどこかに一元化して、完全な需要予測をして必要な量の供給を行う「計画経済化」を進めたほうが、地球環境保護の観点などからも、世界がよくなる可能性もありえるとも考えられます。

 ジョージ・オーウェルは『1984年』でビッグ・ブラザーが社会を監視する脅威を描きましたが、これからの時代は「監視社会」とは少し違うのではないでしょうか。

個人の権利を守り過ぎれば
日本のIoT化はますます遅れる

桑津 ビッグ・ブラザーではなく、グッド・ファーザー、あるいはグッド・サーヴァントという考え方もできるのではと思います。とにかくデータがなければなにもできません。データマネジメントの重要性は年々大きくなっています。縦割り組織の弊害で、データがなければなにもできないのに、データを使えなかったり、IoTの導入が遅れたりしています。インフラのデータはとにかく束ねなければなりません。

 プライバシーは保障するにしても、ヨーロッパのように、あまりにもなんでもすべて個人の権利としてしまうのは考えものです。例えば、いたずら描きをしたものがネットにあって、それを見られると恥ずかしいので、忘れてほしい権利として削除するとか。あるいは性犯罪のデータを消す場合、もしその人が再犯を起こしたら、誰が責任を負うのでしょうか。