プログラミングスクールG's ACADEMYの卒業ピッチで優勝を収め、プレゼンを見ていた投資家から問い合わせが殺到したのだ。飲む間もなく対応に追われる中、気付いたときにはビールの泡がすっかり消え、閉店までに飲めたのはジョッキの3分の1だけだった。
何を隠そう我妻氏はこのとき既に39歳。若手起業家が主流の中にあって、異質ともいえる存在だ。
我妻氏は、もともと大手電気工事会社で施工管理の仕事をしており、自身でも電気工事会社を10年ほど経営していた。
だが、建設業界における「下請け」構造の問題を解決しようと一念発起、立教大学のMBAコースに通ってビジネスを学び、さらにはプログラミングスクールで技術を一から習得した。
立ち上げたのが事業者と職人などをマッチングする建設業者向けのサービスを提供する助太刀だ。冒頭の優勝からわずか1カ月後には5000万円もの資金調達を成し遂げていた。
だが、これは我妻氏に限った話ではない。実は今、30~40代がセカンドキャリアとして起業を選択する「ミドル起業」が日本で増えていることをご存じだろうか。下表のように、マネーフォワードの辻庸介氏やスペースマーケットの重松大輔氏に代表される「遅れてきた76世代」と呼ばれる中年層が続々と起業し、ベンチャーブームを盛り上げている。