• 中国を標的としたプラザ合意再び?• 中国を標的としたプラザ合意再び?「歴史は繰り返さないが韻を踏む」と言うが、歴史の韻は時に、下手なラップに似通っている。中国の報道によると、米国側は人民元安を阻止するために、新たなプラザ合意を推進する可能性がある。同記事は、日本の「失われた30年」は1985年のプラザ合意が理由といえるため、同様の合意推進は中国にとっての警告である、と主張している。プラザ合意はドルを安くした一方、米国の主要貿易相手国の通貨、特に日本円とドイツ・マルクを大幅に高くした。プラザ合意が発表された1985年と現在では、経済と金融の情勢は大きく異なっている。とはいえ、プラザ合意『2.0』に抵抗すべきという記事の主張は検証に値する。1985年当時の米財務省は、米ドルの過大評価の是正を求めていた。ボルカー元議長率いる米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めとレーガン元大統領による減税によって、米国は世界の資金を引き寄せてドルが上昇した。1984年のピーク時には、長期米国債の実質利回りは約1000ベーシスポイント(bp)もあった。ちなみに現在の30年物インフレ指数連動国債(TIPS)の実質利回りはわずか93bpだ。