アナログにこだわる必要もない
私はこうも聞いた。「日々、プロダクトデザイナーとしてデジタル機器と接しているキャロル氏だが、あえてアナログなペンと紙を使うのはなぜ?」と。
その答えもまた、キャロル氏らしい自然体のものだった。彼は決してアナログにこだわらず、デジタルも積極的に活用しているというのである。たとえば、スケジュール管理にはGoogleカレンダーも使っている。それは、無理にすべてをノートに書こうとするとかえって面倒だから。
キャロル氏は「デジタル対アナログという見方はしません。ただ、デジタルは私と私の外の世界をつなげるのには便利だけれども、自分の内なる世界とつなげるためには威力を発揮してくれません。だから自分の内部と向き合うにはノートのほうがいい」とも語った。しばしば言われるデジタルvsアナログという論争に一石を投じる見方だ。
いつも黒いノートに戻ってしまう
ところで、私が対談相手に選ばれた理由は、以前から私が「ロイヒトトゥルム1917」というドイツのノートを愛用していたからだと思っている。キャロル氏もこのノートを使っており、ロイヒトトゥルム1917はバレットジャーナルの公式ノートになっている。
ロイヒトトゥルム1917はカラーバリエーションも豊富なのだが、何色を使っているかと聞くと、「いろいろ試したが、いつも黒に戻ってしまうのです」という。
キャロル氏らしい、そしてバレットジャーナルを象徴する答えではないだろうか。シンプルが一番なのだ。
だが、多少は色で遊びたいという方も安心してほしい。キャロル氏は「私も本当はもっとカラフルになりたいし、色が大切な人々がいることも理解しています」とも言っていた。シンプルがいいけれど、無理にシンプルさにこだわる必要もないし、色を大切にしてもいい……。
自分だけの解決策があっていい
こんなに自由なノート術があっただろうか。やりかたにこだわる必要はないし、カスタムも自由。デジタルと併用してもいい。
その理由は、キャロル氏の次の言葉に表れているように思った。「私はADDにより、授業に集中することができず、ずっと悩んでいました。しかし試行錯誤の結果、私は私なりの解決策を見出していいんだ、と気づいたのです」
バレットジャーナルは自由なノート術だ。ルールにこだわらず、力まずに試してみよう。あなたも、あなただけのバレットジャーナルを見つけるだろうから。