都市がテクノロジーにばかり注力すると、表面的には「スマート」でも、人間のニーズが無視される場所を生み出す危険がある。米国各地の都市では今、「スマートシティ」化が大はやりだ。スマートシティでは、アプリやアルゴリズム、人工知能(AI)が新たな効率化をもたらし、都市生活を改善するとされる。スマート化が人気なのは当然だ。「スマート」と言われたくない都市、テクノロジーの最先端を行っていると思われたくない都市などあるだろうか。都市が自らスマートシティ技術の実験場になるべく、テクノロジー企業に積極的に働きかけているのもなんら不思議なことではない。しかし、一部の都市が気づき始めているように、テクノロジーを手に入れるだけなら簡単だが、難しいのは最善の活用法を見つけることだ。テクノロジーは十分に検討して導入すれば、社会の発展を後押しする極めて強力なツールになりうる。一方、あまりよく考えず、または適切ではない形で導入すれば、効果はなく、さまざまな問題を悪化させる可能性さえある。