トヨタの「利益剰余金」を上回る超リッチな米国企業はどこか企業の利益剰余金は多ければ多いほど経営成績がよく、マイナスへの転落は危険シグナルと判断できるが、注意すべき点は何か?(写真はイメージです)Photo:PIXTA

業績のいい会社、悪い会社は決算書のどの数字を見ればわかるのだろうか。『数字で読みとく会社の未来』の著書がある税理士の池田陽介氏が、さまざまな企業の財務データを読み解いていく。今回は日米の有名企業の「利益剰余金」に注目する。

 決算書のなかの「利益剰余金」というたった1つの科目を確認するだけで、企業の経営成績をたちどころに把握することができます。

 利益剰余金とは、会社がスタートしてからの利益の蓄積を示すもの。決算書の貸借対照表(バランスシート)の資本の部に計上されます。いわゆる、内部留保です。

 計算はいたって単純。期首における利益剰余金に当期利益をプラスして求めます。この利益剰余金は、会社の利益を計算する損益計算書(PL)とバランスシート(BS)を唯一つなぐものです。決算書における重要科目の1つです。

 基本的には、利益剰余金を右肩上がりで増やしている企業は、経営が順調に進んでいるといえます。それだけ利益を積み上げているからです。

 東芝やシャープは、利益剰余金がマイナスに転じた年度があります。巨額の赤字に陥り、それまで蓄積してきた利益剰余金を吐き出したわけです。東芝とシャープはその後、利益剰余金がともに黒字に転じていますが、利益剰余金のマイナスは経営状況の悪化、危険シグナルと読めます。

 利益剰余金のマイナスが続き、なおかつ、負債が資産を上回る債務超過状態になると赤信号の点滅です。