米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げするのは通常、悪いことが起きているからだ。FRBが緩和に踏み切るとの見通しに歓喜する投資家は、それを忘れているのかもしれない。FRBが年内にフェデラルファンド(FF)金利を引き下げるとの観測は、にわかに現実味を帯びてきた。低過ぎるインフレ率を押し上げる「保険としての利下げ」のうわさは少し前からあったものの、大半のエコノミストは据え置きの公算が大きいと考えていた。だが1週間前にそれが変わり、今では利下げの予想が幾つかある。変化の一因は、不安定な世界成長見通しや激しい米中貿易摩擦、神経をとがらせる市場を背景に米経済へのリスクが高まっていることだ。しかし、本当に潮目を変えたのは、ドナルド・トランプ大統領が最近(後に取り下げたものの)メキシコへの追加関税をちらつかせたことや、予想外に弱かった7日発表の雇用統計だった。
FRBの利下げ見通し、期待よりも懸念を
本当にFF金利が引き下げられるなら、投資家は喜んでいる場合ではない
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