今回の消費税引き上げを含む社会保障・税一体改革に関する与野党協議が、なんとか期限ぎりぎりまでに合意できたことは、「決められない政治」からの脱却としてきちんと評価したい。

 もっとも、今後の議論の進め方には、多くの不透明感が残る。そこで、今後どのような課題があり、どう進めていくべきか、考え方を述べてみたい。

二つの点で
修正合意は評価できる

 私が今回の協議の結果で、評価すべきだと考えるのは、以下の2つの点である。

 第1に、社会保障制度改革国民会議の創設とそこでの議論である。民主党政権下の社会保障議論は、ばらまき志向が強く、社会保障の効率化には全くと言ってよいほど手がついていなかった。それが今回、自民党が加わる国民会議の場であらためて協議するということになった。

 自民党は今後の党の基本方針として自助努力を掲げており、その立場からは、より一層の社会保障の効率化を主張、議論することになる(べきだ)。

 わが国の社会保障を持続的なものにするには、長寿に伴う年金支給開始年齢の引き上げや、デフレ経済下での年金のマクロ経済スライドの発動など、民主党政権が先送りしてきた社会保障の効率化が必要である。

 もっとも、選挙を目前に、どこまで効率化に向けた具体的な議論が進むかは疑問だが、あらためて社会保障制度の論点が整理されることは重要なことだ。

 いずれにしても、国民会議という超党派の議論の場を、あらたな決定システムとして今後育てていくことが重要ではないか。社会保障制度を巡る理念の違いは、今後の政界再編にもつながりかねない。