「平成」から「令和」への代替わりをまたいだ超大型の10連休が終わり、再び7月の参院選をにらんで「政治の季節」が巡ってきた。その政治の中心的役割を担うのは誰か。人知れず大型連休中に駆け引きが始まっていた。
新聞各紙が取り上げたのは、元号「令和」を発表した官房長官、菅義偉(70)の活発な動きだ。菅自身が「驚いている」と語るほど、知名度の急上昇ぶりは目を見張るものがある。菅の存在感を象徴したのが4月28日、千葉市の幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2019」への出席だろう。
過去には首相の安倍晋三が2回出席したことがある。安倍がインターネット世代の若者たちにアピールするためだった。
対して菅はネット世代とは全く無縁の存在とみられていたが、主催者が公開した写真にはコスプレーヤーらに囲まれた笑顔の菅が写っている。菅自身の意向がどうであれ、ポスト安倍の有力候補にカウントされる存在になったことは間違いない。9日からの異例の訪米は菅の注目度をさらに押し上げた。訪米前に米副大統領のマイク・ペンスとの会談がセットされた意味は大きい。米政府が菅を日米間の対話チャンネルにしようとする意向が伝わってくるからだ。
令和最初の国賓として
米大統領トランプ来日
米側がここまで注目する背景には「令和おじさん」効果もあるが、菅の地道な努力があったことを無視できない。前駐日米大使のキャロライン・ケネディ、そして現大使のウィリアム・ハガティと月に1回のペースで食事をしながら会談を重ねてきたことだ。さらに菅の存在感を高めたのは月刊誌「文藝春秋」が掲載した自民党幹事長、二階俊博(80)の発言だ。
「(ポスト安倍の候補にも)十分耐え得る人材だと思っています」