RINGの会オープンセミナーが「脱・保険業」をテーマに掲げた理由(上)Photo:iStock/gettyimages

 7月6日午前10時、横浜・みなとみらい21のウォーターフロントに位置するパシフィコ横浜国立大ホール。損害保険を中心に扱う代理店や保険会社の社員などが一堂に会し、第21回RINGの会 オープンセミナーが幕を開けた。参加者の総数は1729人。実に、過去最高の人出となった。

RINGの会RINGとは、Risk management Insurance Network Groupの頭文字を取ったもの。次世代にふさわしい代理店経営と保険文化の創造を目的に設立された団体で、今年で22年目を迎える Photo by Akio Fujita

 冒頭のあいさつに立ったのは、RINGの会会長を務めるソフィアブレイン社長の小坂学氏。

「改正保険業法が施行され、三つの義務、すなわち代理店にとってクオリティーの面で高いハードルが課されました。施行から3年が経過し、保険業をどのように捉え、事業としていくのか、試行錯誤の日々だと思います」

 三つの義務とは、意向把握義務と比較推奨販売義務、そして体制整備義務のこと。消費者の意向をきちんと把握し、比較可能な同種の保険商品を提示した上で比較販売する。そうした一連の流れを具現化できる体制を整備せよという内容だ。

 消費者からすれば、当然の内容である。だが、これまで多くの代理店では、販売については保険募集人任せだったり、手数料の多寡に応じたゆがんだ販売が横行したりしていたのが実態だった。それをきちんと会社組織として正しく運営せよというのが、改正保険業法の主旨である。

小坂学氏RINGの会会長を務める小坂学氏 Photo by Masao Sumi

 さらに、小坂会長は続ける。

「今回選んだテーマは、『脱・保険業』です。少々刺激的な文言ですが、代理店の仕事や保険業界をあえて一歩離れたところから見つめ直し、これからの代理店経営を冷静に探っていこうという思いを込めました」

 つまり、保険業から脱するという意味ではなく、いや応なく押し寄せてくるデジタル化の波や、異業種による保険業界への参入を見据え、これからの代理店経営を考えていかねばならない、という意味をテーマに込めたわけだ。

 そうした視点でもって、以下にレポートするディスカッションを見ていこう。