インサイド節税保険・第2回「最後に笑ったのは誰か」Photo:iStock/gettyimages

「(2018年度の新契約)年換算保険料は減少しました。理由は、(節税保険で)他社が追随商品を販売し競争が激化したことによる、プラチナフェニックスの販売量の減少です」

 7月2日、日本生命保険が大阪市内で開いた総代会の席上で、清水博社長は18年度の業績についてそう振り返った。

 むろん、年換算保険料の減収には、節税保険の販売減だけでなく、昨春の標準生命表の改定などいくつかの大きな要因があった。

 にもかかわらず、あえて真っ先にプラチナを減収要因として取り上げているところに、財務への影響のみならず規制当局との向き合い方まで、日生の戦略全体に与える影響が、いかに大きかったかがうかがい知れる。

国税庁節税保険を全力でつぶしにかかった国税庁 Photo by Masaki Nakamura

 実際、プラチナの影響力は絶大なものだった。

 17年3月に商品を発表した直後、「日生が(全額損金算入型の)とんでもない商品を出してきた!」との話題が業界内を駆け巡った。そしてプラチナ発売後の同年4月には、中小企業のオーナーがわれ先にと飛び付くようにして契約していった。

 1000万円単位の契約が、面白いように積み上がっていく――。

 そのさまを見て、他社の目つきが変わるのに、そう時間はかからなかった。17年10月以降、東京海上日動あんしん生命保険など生保各社が、相次いでプラチナの商品設計をまねた節税保険の開発に着手、激しい販売合戦が繰り広げられることになる。