半導体業界では最近、不測の事態という悪い知らせが朗報になっている。だからといって、その効果が長続きするというわけではない。ここ数週間、予想外の出来事が重なり、沈み込んでいた半導体の価格が押し上げられている。東芝メモリの工場で先月発生した停電の影響で、ストレージ向けのNANDフラッシュメモリの供給が減少し、NAND価格が上昇する一因となった。今週に入り複数のアナリストがDRAMのスポット価格上昇を指摘している。バーンスタインのマーク・ニューマン氏は11日のリポートで、DRAMのスポット価格がそれまでの2日間で3.8%上昇したと指摘した。これは2日間の上げとしては2018年初め以来の大きさだ。DRAM価格が過去1年で急落したことを踏まえれば、こうした動きは特筆に値する。市場調査会社トレンドフォースによると、4-6月期のDRAMの平均価格は前年同期を54%下回った。