ロシアのエリート達は、自らをソビエト連邦の帝国主義的栄光を受け継ぐ存在だと考えている。しかし問題は、彼らが手にしているのは二流の力だということだ。この野望と実力の根本的なギャップ、そしてロシアが描く自らの姿と他国が描くロシアの姿の違いが、国際情勢におけるウラジーミル・プーチン大統領のハイリスクな戦略につながっている。ウクライナへの侵攻からシリア内戦への介入、米選挙への関与、そして直近の例ではベネズエラとアフリカへの介入などがその例だ。「ロシアは、実力以上の戦いを挑むことで立場を強めようとしている。ロシアの役割が実際以上に重要だと人々に思い込ませようとしているのだ」。ソ連の核交渉を担当した経験を持つカーネギー・モスクワ・センターのドミトリー・トレーニン所長はこう指摘する。