スーパードライの概念を打ち破り、新たな創造性をつくる
Photo by Masato Kato

国内ビール最大手のアサヒグループホールディングス(GHD)が7月、アンハイザー・ブッシュ・インベブから豪州ビール事業を約1兆2100億円で買収した。アサヒGHDは2016~17年にもインベブの欧州ビール事業をほぼ同額で買収しているが、小路明善社長兼CEOからすれば、それは「小さな一歩」にすぎず、今回の豪州事業買収により初めてグローバル展開の「基盤」が確立されたことになる。小路氏が今に至る一連の買収劇の舞台裏について、初めてメディアに語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 重石岳史)

――6月末まで東京・表参道にオープンしていた「アサヒスーパードライ ザ・クール」のコンセプトショップに行きました。スーパードライはどちらかというと、新橋の中高年というイメージが強かったんですが(笑)、表参道の若者に好まれそうな爽やかな味わいのビールを、インスタ映えするおしゃれなバーで、小瓶でそのまま飲むというスタイルでした。あのような取り組みの背景には、ビール市場の変化があるのでしょうか。

 ビールを中心とした酒類の消費について、私はそんなに大きな変化が起きているとは思ってないんですね。

 あるとすればやはり、嗜好品である酒類への若い人たちの支出が減ってきている。自分のライフスタイルを充実させるためにもっと他の、例えばスマートフォンの通信料だとか旅行だとか、そういったことに消費支出が移ってきているということぐらいだと思っているんですね。決してビールが飽きられているのではないと思っています。

 しかしわれわれメーカーは、若い人たちのライフスタイルを充足するという点で、ビールや酒類に価値があるという提案に少し欠けているところがあります。

 例えばスーパードライは発売から32年になりますけれども、当時20代だった人たちが50代に、また30代だった人たちが60代になり、そういう人たちと同じアプローチを若い人たちにしてきました。

 それは一貫性ということがあるんですが、そうではなく、私は「もう一つのスーパードライ」というコンセプトでつくったらどうかという提案を技術者にしたんです。