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国内ビールナンバーワンの「スーパードライ」、2016~17年に買収した欧州ビール事業、そして今回、豪州事業を傘下に収めたことで、アサヒグループホールディングスが世界で戦う日欧豪の「3極体制」が整った。だが、小路明善社長兼CEOは次なるステージとして「4極目」の確立も視野に入れる。M&A巧者の慧眼を支える経営の本質に迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 重石岳史)

――今回の豪州ビール事業買収により、アサヒグループホールディングスとして日欧豪の「3極体制」を確立しましたが、なぜ米国や中国などではなく、3極目に豪州を選んだのでしょうか。

 まず一つは10年前、われわれが飲料会社のシュウェップス・オーストラリアを買収して豪州に進出し、市場をある程度熟知していたことがあります。

 もう一つは、豪州は資源国で非常に景況感が安定している。2018年の実質GDP(国内総生産)成長率は2.9%で日本より格段に良い。また移民を含めて人口は約2500万人ですが、安定的に人口が増加し、政治も安定している。

 カールトン&ユナイテッドブリュワリーズ(CUB)はグローバルブランドを持っていませんが、われわれはスーパードライやペローニ、ピルスナーウルケルを既に持っているので、もう要らないんですね。必要なのは拠点です。

 その拠点があるマーケットが安定成長の国であるかどうかが、消費財メーカーとしては非常に重要なんですね。

 米国ではわれわれもスーパードライを売っていますが、それだけであり、またベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブという世界第1位の巨大な会社がニューヨークに本拠を置いています。モルソン・クアーズという大手も存在し、クラフトビールの販売量も多い。われわれがチャレンジするには、あまりにもマーケットが大き過ぎて競争が激しい。

 それから中国や東南アジアは成長が著しいですが、利益は取れません。成長があっても競争が激し過ぎて薄利という市場に、われわれはまだ出ません。