再生医療関連事業を手掛けるセルソースで今年1月、住友商事出身で同社を起業した裙本理人氏(41)が社長CEOを退任し、後任に伊藤忠商事出身でファミリーマート元社長の澤田貴司氏(66)が就いた。2015年創業のセルソースは、23年10月に東京証券取引所プライム市場への上場を果たしたばかり。上昇気流に乗るタイミングで裙本氏はなぜ、自ら経営トップを降りる異例の決断を下したのか。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
41歳の裙本氏が66歳の澤田氏に社長交代
「異例の人事」で狙う壮大な野望とは?
――セルソースは裙本さんが2015年に設立して以来、黒字成長を続け、23年にはプライム上場を果たしました。成長の途上にあるベンチャー企業の創業者である裙本さんがこのタイミングで社長CEO(最高経営責任者)を辞し、ファミリーマート元社長の澤田貴司氏に1月25日付で交代しました。交代の狙いは何ですか。
創業時は「ゼロ」から「1」を作る、まさにスタートアップでした。そして(19年の)東証マザーズ上場までが「1」から「10」にするフェーズ。さらに「10」から「100」へと業績を拡大することが、プライム上場までの過程だったと思っています。
しかし100で満足するわけでは当然ありません。これから「1万」「1億」と爆発的に拡大しなければならない。
そのときに既存の延長線上の組織のあり方で、その爆発的な成長が本当に実現できるのかと何度も考えました。100を1万にする、1万を1億にするという目標達成のために、最も合理的なフォーメーションって何だろうって考えたとき、澤田さんにバトンタッチすることなんじゃないかと考え、自ら交代を決めました。
――澤田さんのどういう能力が新しいフォーメーションに必要だと考えたのでしょうか。