アフリカ貧困救済金銭的・物的支援が、地域の長期的な繁栄に結びつくとは限りません Photo:Eric Lafforgue/Art in All of Us/gettyimages

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

20年前の中国で日本製ワークステーションが
「ちっとも使われなかった」のはなぜか

 20年以上前、私がインターネット・プロバイダーに関わっていた頃の話だ。

 そのプロバイダーは当時、国内にとどまらず、中国などアジア圏への進出も視野に入れていた。

 そんなある時、日本の政府筋から中国に行ってほしいとの依頼が、そのプロバイダーにあった。北京と天津にあるコンピューター教育センターで、現地の中国人にインターネットについて講義をしてもらいたいという。

 プロバイダーは「中国進出に向けて、いい宣伝になる」ともくろみ、引き受けることに。それで、私が派遣されたのだった。

 20年以上前なので、中国にはまだインターネットはまったく普及していなかった。「いかに便利か」というところから説明しなくてはならなかったので、結構苦労した覚えがある。

 現地では、講義の合間にコンピューター実習室を見学させてもらったのだが、そこには立派なワークステーションが何十台も並んでいた。ODA(政府開発援助)の一環として、とある日本の電機メーカーが寄贈したものだそうだ。

 ところが、そのワークステーションはカバーがかかったまま、埃をかぶっていたのだ。「ちっとも使ってくれないんですよね」と、現地に出向していた、そのメーカーの社員が残念がっていたのが印象的だった。