乳がんの発症リスクにはどう対応すべきか…
乳がんの発症リスクにはどう対応すべきか…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

厚生労働省は7月2日、乳がん・卵巣がんになるリスクが高い遺伝子変異(BRCA1/2)を持つ患者が、将来の乳がん発症を予防する目的で受ける「リスク低減(乳房)切除術(予防的切除術)」について、公的医療保険の対象とするかどうかを検討する方針であることを明らかにした。(医学ライター 井手ゆきえ)

BRCA1/2遺伝子変異性乳がん
「アンジーの決断」で知られるように

 がんの発症要因は生活習慣やウイルス性感染症などさまざまだが、一部に遺伝的要因が関与する「遺伝性がん」がある。乳がん・卵巣がんの7~10%は遺伝性がんで、その多くにBRCA1遺伝子変異、あるいはBRCA2遺伝子変異が関わることが知られている。

 BRCA1、あるいは2遺伝子変異を有する乳がん・卵巣がんについては、2013年に米国人女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが発症リスクを低減するために両方の乳房を切除する手術を受けたことを公表し、一般にも知られるようになった。アンジェリーナさんは2年後の2015年に「リスク低減卵管・卵巣切除術」も受けている。乳がん、卵巣がんともに未発症時点での決断であり、大きな議論をよんだ。

 当時の報道をまとめると、アンジェリーナさんの決断の背景には、祖母、母親、叔母という第2度近親者以内が若くして乳がん、卵巣がんを発症、40~60代で死亡していたという事実があり、子どもたちに自分と同じ悲しい経験はさせたくないという強い思いがあったようだ。彼女自身はBRCA1遺伝子変異があり、主治医から何もしなければ87%の確率で乳がんを発症し、50%の確率で卵巣がんになると告げられていたという。

発症リスクは一般集団の6~12倍
リスク低減切除のメリットは?

 一般にBRCA1、あるいは2のどちらかに変異を持つ人が80歳までに乳がんを発症する確率は80%、卵巣がんではBRCA1の変異を持つ人が同じく80歳までに発症する確率は44%、BRCA2変異では17%と推測されている。