上司はさまざまな人を歓迎する職場を作ろうとしても、歓迎されていると感じる人ばかりではない。一体、何が起きているのだろうか。
雇用する側は、会社の目標や価値観にぴったりの特徴を備えた、自分たちから見て会社の文化に合っていると思う人間を雇おうとすることが多い。その結果、新入社員は全員、見た目も、考え方も、行動もそっくり、という落とし穴に陥ることがある。さまざまな人種やジェンダー、考え方が入り混じる職場環境を大切にする人にとっては迷惑な話だ。
「ほとんどの人にとって『カルチャーフィット(文化的適合性)』とは、一緒にビールを飲みたい人を雇うこと」。人材コンサルタントでネットフリックスの最高人材責任者を務めたパティ・マッコード氏はこう指摘する。「その結果、全員、見た目も、考え方もそっくりで、午後3時に仲間とビールを飲むのが好きな巨大な均質の文化が出来上がる」
逼迫(ひっぱく)する現在の労働市場で、誰もが魅力的な職場文化を求めている。コンサルティング会社コーン・フェリーが2018年に1100人の採用担当者を対象に行った調査で、優秀な人材を採用する上で最も重要な要素を尋ねたところ、魅力的な職場文化が1位となり、この5年間で5位から急浮上した。ただ職場に卓球台を置いたり、クラフトビールを提供したりする飾りとしての文化と、それ以上に重要な意味を持つ、より深い意味での文化の間には違いがある。その違いとは社員にとっては、給料以外の理由で仕事に愛着を感じることであり、会社にとっては、見張りがいなくても社員が熱心に働くことだ。