健康診断の結果を見ると、老廃物の1つである血清クレアチニンの値と年齢、性別から計算した「推計糸球体ろ過量(eGFR)」という項目があると思います。ぜひ、ご自身の現在の腎臓の状態を知るためにチェックしてみてください。

 もう1つ、慢性腎臓病の疑いがあるかどうかを知るために健康診断で重視すべきなのが、尿検査での尿タンパクと尿潜血です。尿タンパクがマイナスやプラスマイナスなら問題ありませんが、プラス以上なら問題です。タンパクが尿に出るのは、腎臓で血液をろ過するときに、血液中のタンパクが漏れてしまっているからで、糸球体の一部が破損している可能性があります。

 尿に血液が混じっていたら、結石や膀胱炎、腎炎などの恐れがあるので、再検査と専門医の診断を受けましょう。

末期になるまでほぼ自覚症状なし
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――慢性腎臓病になると、どのような症状が現れますか?

 一般的には、腎機能が正常の40%程度(GFR値40)まで下がっても自覚症状は現れません。30%まで低下すると、血液検査でミネラルのバランスが崩れ、カルシウム、リン、カリウムなどに異常が認められることがあります。また、血圧が上がったり、むくみが現れやすくなったりします。ただ、そういう症状が患者さんにとって極めて苦痛かというと、そうではありません。

 一方で、腎機能が正常の10%を割ってしまうと、尿毒症の危険が高まります。つまり、体の中に毒性の老廃物がたまって、症状が全身に現れます。典型的な症状としては、食事を取ると気持ち悪い、食欲が落ちる、中枢神経症状として不眠になる、イライラ感が出る、考えがまとまらないなどがあり、まるで認知症のような状態です。肺と胸に毒素や水がたまり、肺水腫や心不全を呈する例もあります。毒素や老廃物が末梢神経にも影響を及ぼし、しびれ感やかゆみが現れることもあります。

 繰り返しになりますが、これらの症状は、多くの例でだいたい腎機能が10%未満にならないと現れません。つまり、末期になるまで症状がないために、「(初期では)今は何も困っていないから」と病気と真剣に向き合わない患者さんが少なくありません。実際、病院に通うのをやめてしまう方や、私達が提示する生活習慣の改善を行わない方もいらっしゃいます。ここが大きな問題なのです。