情報を「見せないリスク」と「見せるリスク」を比べた場合、どちらが大きいかといえば、「見せないリスク」です。

 情報を見える化しないと、「会社がどういう状態になっているのか」が社員に伝わりません。とくにPL(損益計算書)をクローズしている会社は、社員のモチベーションが低いように感じます。「会社が儲かっているのか、それとも儲かっていないのか」がわからなければ、社員だって頑張りようがありませんよね。

 「武蔵野」は2008年の12月に過去最高益でした。けれど期末現金は過去最低で、前年よりも1億円少なかったんです。

 したがって賞与は前年の90%に留め、支給金額は半分(残りは半年後)にしました。

 けれど、社員は誰も文句をいいません。なぜなら、PLもBS(貸借対照表)も公開しているから。そのうえ「会社は過去最高に儲かっているのに、現金は過去最低です。なぜなら銀行が貸しはがしをしたから。業績のよい会社でないと貸しはがしはできません。業績が悪い会社から貸しはがしをすると、倒産してしまいます」という解説付きです。

 「武蔵野」は、経営方針も、経理情報も、クレームも、社員の評価も、社長がキャバクラに行ったことも、私の年収が4500万円なのも、よい情報も悪い情報も隠さない。数字はすべてオープン。情報を私物化せず、すべて公開しているからこそ、社員の協力を得られるのです。

小さなことをたくさん褒められると
人はやる気が出る

 大きな契約を取ってきたり、大きな手柄を立てるのは、せいぜい1年に1、2回でしょう。そうなると社員は、1年に1、2回しか褒められないことになります。けれど人間は、「小さなことをたくさん褒められる」ほうがやる気になるものです。そこで「武蔵野」では、小さなことをたくさん褒めるしくみとして、「サンクスカード」を取り入れました。