お父さんにしかできない重大なこと
ところで、この記事を読まれる方は、お母さんだけでなくお父さんも多いでしょう。
そこで言っておきたいのですが、「育児は女性のもの」ということで片づけてしまっては、「じゃあ、父親には存在意義がないのか」ということにもなりかねません。
「イクメン」の風潮にはあまり賛成ではありませんが、男性には男性なりの、子どもとのつき合い方があります。
それは、親が持つ価値観を、子どもに刷り込んでいくということです。
戦後、日本では核家族化が進みました。
それによって、代々、家として守ってきた伝承が、途絶えてしまいました。
「子は親の背中を見て育つ。だから、黙っていても、子どもは自分からなにかを学び取るはずだ」
というお父さんがいます。
期待を打ち砕いてしまうようで申し訳ありませんが、そのようなことはありません。特に父親がサラリーマンともなるとなおさらです。
自宅に作業場がある職人さんなら、まだ自分の働いている姿を子どもに見せることで、なにかを伝えることはできると思いますが、家から1時間以上もかけて通勤しているサラリーマンは、自分の働いている姿を子どもに見せることはできません。
自分が好きで得意なことを、子どもと一緒にする
だからこそ、別の方法で、子どもに自分が伝えたい価値観を、きちっと伝えていく必要があります。
具体的にどうすればいいのか。
まず、自分の好きなことを思い浮かべてください。
野球ですか? それともサッカー? 釣りという人もいると思います。
要は、自分が好きで得意なことを、子どもと一緒にするのです。
当然、父親としては自分の得意なことをするわけですから、最初のうちは、子どもよりもはるかに上手にできるはずですし、うんちくを語ることもできます。
なによりも、自分の好きなことをするわけですから、子どもにお父さんのイキイキした姿を見せることができます。
こうしたことから、子どもはお父さんに対して、尊敬の念を抱くようになります。
こうしたコミュニケーションを取るなかで、うまく人生の教訓のようなことを徐々に伝えていくのです。
そうすれば、それが子どもにとっては親から受け継いだ価値観となり、それをさらに自分の子どもにも伝えていく努力をするようになるでしょう。
最近は、さまざまな教育メソッドが充実していますから、成績のいい子どもをつくることはできます。
しかし、親の価値観を子どもに伝えるというのは、塾に通ってできるものではありません。
それは、親がしっかりと子どもに伝えていく必要があります。
そして、そこにお父さんの活躍の場があるのです。
いよいよ次回が最終回! お楽しみに!
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1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた独自の久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。 著書に、10万部を突破した『カヨコばあちゃん73の言葉』(ダイヤモンド社)、競氏との共著書に、『脳科学おばあちゃん久保田カヨ子先生の誕生から歩くまで 0~1才 脳を育むふれあい育児』(主婦の友社)などがある。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【脳研工房ホームページ】 http://www.umanma.co.jp/