子育てほど面白いもんはない!

  私は2人の息子を育て上げました。
  学生結婚で、夫は当時、研究者の卵として、日々、勉強、勉強でしたから、子育てを考える余裕はどこにもありません。
  当然、夫から「この子をこういうふうに育てたい」という希望も出てきませんでした。    しかも、家を留守にしがちで、結局、子育て全般は私が担うことになったのです。
  おそらくいまの時代、夫のような人間は、「育児放棄」とみなされてしまうでしょう。
  でも、私は「あなたばかり外に出てズルイ。早く仕事から帰ってきて、子どもをお風呂に入れてください」などと言ったことは一度もありません。

  それよりもむしろ「してやったり」という気持ちのほうが強かったことを、ここで白状したいと思います。

  男性と女性では、子育てに対する感情がまったく異なります。
  なぜだかわかりますか?
  女性にとって自分の産んだ子どもは、紛れもなく自分の子どもです。
  でも、男性にとっては、厳密に言えば、本当に自分の子どもかどうかは、わからないのです。
  なにしろ、女性は自分のおなかを痛めて、子どもを産むのですから。
  女性は、そういう存在である子どもを、自分の思うままに育てることができます。

  これに勝る喜びが、ほかにあるでしょうか。

  十月(とつき)十日(とおか)、お腹に抱きかかえ、やっと産まれた我が子の“仕上げ”に、しっかり関与したい女性は、もう少なくなったのでしょうか。

  私は、自分の夫に言いました。

「もし、子どもが20歳になったとき、『こんな子に育つことを望んでいなかった』などと言ったら、たちどころに離婚だ」と。

  もちろん、いまも夫とは夫婦関係が続いていますから、夫はひと言もそのようなことは言わなかったのですが、そのようにキツイ言葉を口にしながらも、実は「してやったり」と、自分自身は、ほくそ笑んでいました。

  最近は離婚も増えているので、なかには子どもを抱えたまま離婚することになり、仕事と子育ての両立に悩んでいるお母さんもいらっしゃるでしょう。

  経済的には大変なことだと思いますが、そんなときは、「これで自分の好きなように、わが子を育てることができるんだ」と思ってください。

少しの時間だけでも、父親と子どもの交流を

  そう考えると、確かに子育ては女性のものですけど、仕事で毎晩遅く帰宅するお父さんにも、子どもとのコミュニケーションを図れる時間を、1日のうちに少しでもいいから、持たせてあげるようにしてください。

「8時には子どもを寝かせるから、(子どもを)お風呂に入れたければ、それまでに帰ってきてね」
  と言っておいても、夫は仕事に追われ、自宅に着いたのが8時20分すぎ。

「もう、20分もすぎてるわよ。やっと寝静まったんだから、起こさないようにして!」

  これで本当に、夫婦の子育てと言えるのでしょうか。
  学校に通い始めたら、寝坊はいけませんから、早めに寝るのは大事ですが、未就学児であれば、そうかたいことを言わなくてもいいでしょう。

  それよりも、子どもにとっては「お父さんと触れ合うことができた」ということのほうが、はるかに大事です。