個人情報は「21世紀の石油」と語る花谷昌弘氏

ネット世界の覇者であるGAFAは、近いうちにその利益の源泉を失うことになる。ビジネスの主戦場がネットに移ることで、個人情報の重要性は飛躍的に高まっている。その個人情報を自らの手で管理・運用される仕組みが国内外で整備されつつあり、特定企業による情報の独占が許されなくなるからだ。去る10月8日、総務省と経済産業省は「情報信託機能の認定に係る指針ver2.0」を公表した。これは2017年11月から議論が進められてきた、情報銀行を認定するルールである。こうしていま、日本では情報銀行が生まれつつあるのだが、その実像はなかなか想像しにくい。諸外国の事情にも精通した花谷昌弘氏(株式会社NTTデータ 金融事業推進部・デジタル事業推進部部長)に話を聞いた。

個人が主体となって
自らの情報を管理・運用する仕組み

――情報銀行という言葉をニュースで見かける機会が増えています。そもそもどういうものなのでしょうか。

 社会的な機能の面から説明すると、これまでのビジネス分野では、カネを集め使って産業創成が図られてきました。デジタルのネットワークというインフラが整ったこれからの時代は、データを使うことで産業やサービスの創成ができるようになります。「データは21世紀の石油である」といわれるゆえんです。そのためには、個人情報が安心できる形で公正に流通・利用されることが大前提となります。その基盤と期待されているのが、データの管理・運用を担う情報銀行です。

――具体的にどのようなことが実現するのでしょうか。

 個人データを有効に活用することで、より効率的な国費の運用が実現します。医療分野でのメリットが一番わかりやすいかと思います。

 たとえば事故に遭って骨折したときに、最初にかかった病院と、予後を診るかかりつけの病院でレントゲン写真を共有できれば無駄な出費はなくせるはずですが、そうなっていません。レントゲン写真だけでなく自分の検査データを自分で管理できないのです。同じ病気に対する治療でも、健康な人に対するものと、寝たきりの人に対するものは、違うはずで、使うべき医療費も変わります。個人の医療履歴が共有できるようになれば、現場の医師は適切に判断が下せます。

 医療だけでなく社会保障など多くの分野で、個々人の情報を流通させたり、 精緻に集積してパーソナライズ化できれば、国費の使い方の効率化はいくらでもできるようになります。