05成田の焦りPhoto by Toshiaki Usami

2020年春の羽田空港増枠でANAとJALが欧米路線を成田空港から羽田へシフトしたり、米デルタ航空が成田から撤退し羽田への首都圏発着路線の集約を決めたりするなど、国際線旅客数トップに君臨してきた成田が厳しい局面を迎える。6月に就任した田村明比古・成田国際空港社長は、国土交通省航空局長と観光庁長官を歴任し羽田再国際化を推し進めた張本人だ。特集「駅・空港パワーランキング」(全11回)の#05は、田村社長が「後始末に来た」意味を語る。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

羽田増枠を手掛けた張本人が
成田に「3本目の滑走路」

――7年間トップを務めた夏目誠前社長(元JR東日本副社長)に代わって6月に就任しました。ちょうど、来春に羽田(東京国際)空港の発着枠が拡大するため大手航空各社が国際線を成田から羽田へシフトするタイミングです。

 私が国土交通省の航空局長だったときに、都心上空を飛行する新ルートをつくりました。羽田増枠のためにね。

 それで今、その後始末をする役割になりました(笑)。羽田が増枠すると北米路線の相当数が成田から羽田に移ります。今回、羽田は50枠増えますから、いろいろな路線が羽田へ移ってしまう。

 それでも首都圏の航空需要は全体のパイが増えていきますから。需要の受け皿として、来春に羽田の国際線発着枠が年間4万回増え、その後の需要の増加分は成田で受けていく。だから成田に3本目の滑走路を造ります。11月7日に国へ3本目の滑走路新設と2本目の滑走路延伸の許可を申請して、その事業を進める入り口に立ちました。

 単に滑走路を造るだけじゃなくて、空港への交通アクセスやターミナルを改善したり、国が目標に掲げる「2030年訪日客6000万人」に対応できる体制をつくる。この計画を着実に実現していくのが私の役割です。