2020年春、羽田空港国際線が増枠される。これにより日本の二大キャリアであるANAとJALの欧米路線の便数は羽田発着便が成田のそれを上回り、名実共に羽田が日本の玄関口となる。その一方で、地方の空港が韓国・香港依存により深刻な事態に陥っている。特集「駅・空港パワーランキング」(全11回)の#04は、世界から集客する空港の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
破綻から約10年経たJALの大勝負
国際線「羽田」シフトの舞台裏
1年半前の2018年春、日本航空(JAL)に一人の男が呼び戻された。男の名前は大貫哲也。JALが10年に経営破綻した直後、再建計画スタート時に国際線の路線網を整え、その後経営企画本部長を経て国内線運航子会社の社長を務めていた。それがJAL本体へ常務執行役員のポストで「出戻った」(大貫氏)。そして10年以来、2度目の路線統括本部国際路線事業本部長に就いた。この人事は破綻のみそぎを終えた後、羽田(東京国際)空港の国際線で大勝負に打って出るためだった。
11月中旬、全日本空輸(ANA)とJALは20年春からの羽田発着国際線の全容を明らかにした。
JALが破綻した10年、羽田は「再国際化」を始めた。かつて羽田は日本の玄関口としての国際空港の座を、国策で成田国際空港に譲った。羽田は日本で最も年間旅客数が多い空港で、その数約8569万人。ただしこれは国内線旅客がメイン。羽田の旅客数のうち8割弱が国内線旅客で、国際線旅客は成田や関西国際空港に水をあけられている。