関西国際空港と伊丹(大阪国際)空港、神戸空港の関西3空港コンセッション(民営化)は、日本の空港民営化の中では一番大きな案件であり、かつ1番手だった。大きなプロジェクトはリスクも大きい。2018年の台風21号により、関空は“水没”した。空港の機能がまひし、「民営化のわな」「天災ではなく人災」といった批判を浴びた。特集「駅・空港パワーランキング」(全11回)の#06は、関西3空港を運営する関西エアポートの2トップが登場。関空水没から1年、何を語るか。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
関空水没を振り返る
「全部駄目だった」
――1年前の2018年9月に台風21号が上陸し、関西国際空港の滑走路や旅客ターミナルが冠水、暴風で流されたタンカーが衝突した空港連絡橋は破損して不通になりました。多くの利用客たちが空港に取り残された「関空水没」を振り返っていかがですか?
山谷 全部駄目でした。どこがというんじゃなくて全部駄目。
まず地下に電源施設があって浸水した。浸水対策はしていたけれど、水はあそこには入らないという考えでした。で、水が入って停電。タンカーがぶつかって橋が損傷するなんていうのも、頭の中にないことだった。こうした状況でどう連携するか、規定も想定もしていなかった。だから、全然駄目でした。
インバウンドが増えている中で、外国人の皆さんに今の状況をお伝えすることも全く不十分でした。大変な目に遭い、「助かってよかった」という思い出になったのか、「もうこりごりだ。二度と日本に行きたくない」という気持ちになったのかでは、全然違います。
抜本的に、有事の体制をつくり直す必要性を痛感しました。これでは日本は観光先進国になっていけません。