今回はウェブマーケティング業界で飛び交うカタカナ語を深掘りしてみましょう。誰でもインターネットを使う時代になったいま、一度は聞いたことがある用語を取り上げようと思います。(ポリグロット外国語研究所代表 猪浦道夫)
brandの語源は
「家畜への焼き印」だった!
最初の4語はさまざまなウェブ上の広告の名称、2番目から7番目までの語は動詞の動名詞形に由来する用語です。どれも基本的な言葉ですので、語源をしっかり踏まえた上で、理解するようにしましょう。
●インフィード広告 in-feed ad.
インフィード広告とは、ウェブサイトのコンテンツとコンテンツの間に「供給される」タイプの広告のことですね。in-feed という語は辞書に載っていませんが、どういう意味なのでしょうか。feed は「食べ物」を意味する food の姉妹語で、名詞としては動物のエサを意味します。動詞としては「エサを与える」という原義から「供給する→情報などを送る」の意味で使われるようになりました。
そして現代では、情報をコンピューターに送る、フィードする(feed information into a computer)などと言うようになりました。というわけで、in-feed とは「コンテンツのあいだに(in)送られた(feed)」という意味なのです。そういえば、プリンタに用紙を供給するところも「フィーダー」って言いますよね。
●リスティング広告 listing ad.
リスティング広告とは、あえて日本語に訳せば「検索連動型広告」のこと。検索結果の上部に表示される広告を指します。この単語の語部分は list で、つまりは「一覧表、名簿」の意味です。リストアップ、ウェイティングリストなどの「リスト」はこれです。動詞としての list は「表、名簿に載せる」という意味ですので、その動名詞形である listing は「名簿に載せること」となります。ちなみに株式、証券のほうでは「上場」の意味で使われます。
●ブランディング広告 branding ad.
ブランディング広告という言葉を耳にしたことあるでしょうか。この語幹部分はいわゆる「ブランドもの」の brand(商標、銘柄)です。古代には「燃え木」を意味する語で、動詞としては「家畜に焼き印を押す」という意味でした(ガスバーナー gas burner の burn と同じファミリーの語です)。つまり、マーケティングにおけるブランディングとは、自社の商品のコンセプトをユーザにアピールし、市場で一定のシェアを確保しようとする戦略のことで、そのための広告がブランディング広告ということになります。