就職はゴールではない。40年近いキャリアのスタートだ。ここでは、社員の生産性、働きがい、働きやすさ、成長などを促すことを目的とした社内制度を紹介する。(取材・文/嶺 竜一)

 下の表を見て、何か分かるだろうか。これは名刺のデータ化サービスを行うSansanの社内制度の一覧である。

 これらの制度は決して社員を喜ばせるための福利厚生制度ではなく、「会社の成長を目的として、社員一人一人の生産性を高めてもらうために設計している制度」と我妻小夜子・人事部マネージャーは言うが、これらがとにかくすごいのである。

Sansanの我妻小夜子氏は6年前から人事部門で制度設計に従事。「ネーミングが難しい」と笑う Photo by Ryuichi Mine

 まず、「通勤時間削減」の「H2O(Home to Office)」は、同社の最寄り駅である表参道と渋谷から2駅圏内に住居がある人に月々3万円の家賃を補助する制度。東京本社勤務社員の3割以上が活用している制度だ。朝、満員電車に揺られて出社し、ぐったり仕事がスタートするということを防ぐ。

「スキルアップ」の「Geek Seek」シリーズは、技術職の社員が、本を買ったり、勉強会や海外のテックカンファレンス等に出席する費用を補助する制度。OCEANは全社員を対象にオンライン英会話や英会話スクールの費用を1万2000円まで補助する制度だ。

「業務効率向上」を目的とした「イエーイ」は月に4日まで在宅勤務を認める制度。「イエーイケア」は体調不良や介護により出社が難しい日に短時間の在宅勤務を認める制度。「イエーイBaby」は妊婦の在宅勤務を認める制度だ。「どにーちょ」は土日に働いて平日に休みを振り替えられる制度。静かな環境で集中して勤務したいエンジニア職などに多く利用されている。

「家庭環境改善」の「MOM」は、子どもの保育園料、送り迎えのタクシー代、保活(保育園に入るための活動)を全額サポートする制度だ。KISSは家事代行サービスとベビーシッター費用を月額3万円までサポートする。

 採用に関する制度もある。「マイミャク」はリファラルリクルーティング(友人・知人を自社に紹介する制度)だ。会食費用を補助するほか、採用となればなんと、紹介者と新入社員の両方に25万円が支給される。

Sansanのサテライトオフィス、神山ラボ。通勤時間ゼロ。近所には温泉があり、空気がきれいで静かな環境だ

「コミュニケーション強化」の「Know Me」は、社内の新しい3人の組み合わせで飲みに行ったときに一人あたり飲み代3000円を支給する制度だ。

 また、Sansanには徳島県神山町の山間の集落にある築70年の古民家をリフォームした神山ラボというサテライトオフィスがある。自然豊かで静かな環境で、エンジニアが集中して業務を行いたいときに利用する。