キャリアを社員自ら
つくることをサポート

 不動産検索サイト「LIFULL HOME'S」などを運営するLIFULLは、社員のキャリアを重視した制度が充実している(下表参照)。

「当社は『この仕事がしたい』という自分の内側から出てくるモチベーションを『内発的動機』と言い、非常に大事にしている」と林征一郎・新卒採用グループ長は言う。同社は基本的に、自分の仕事を自分で選ぶことをよしとしている。そしてそれに沿った人事をできる限り行う。定期的に異動させるジョブ・ローテーションは行っていない。

 まず内発的動機を明確にさせるため、全社員は半年に1回、キャリアデザインシートの作成を行う。今または将来、どの部署でどんな仕事をしていたいかなど、自分のキャリアプランを明文化し、上司と共有する作業を行う。

 その上で半年に1度、自分の異動希望を申請できる制度が、「キャリア選択制度」だ。希望を出した場合、上司を介さずに異動希望先の上司と面談し、希望先の部門長が採用すれば異動が決まる。

 異動希望を出した人の6割程度は希望の部署に異動になる。本人のやりたいことを止めないというのが周知されているので、エース社員であっても上司が引き止めることはしない」(林氏)

 また、異動の前段階として、業務時間の10%を別部門で働くグループ内兼業制度「キャリフル」がある。社員の知見を広げ相互理解を深める目的と、異動希望先の仕事をまずは体験してみるという目的がある。去年は26の部署からの公募があり、32人が参加した。その後異動した人も多数いる。

 新規事業提案制度「SWITCH」は、社内外からいつでも新規事業提案ができる制度。年間100~150もの提案が寄せられる。2カ月に1回、ピッチイベントと審査を行い、採択された場合には提案者がリーダーとなってプロジェクトがスタート。出資を受けて関連会社として独立するケースも少なくない。花の定期便サービス「LIFULL FLOWER」などのビジネスが生まれている。

 成長意欲がある人を制度でサポートし生産性を向上させる。「働き方改革」のあるべき姿だろう。