逃亡者になる場合、理由は2つに分かれる。正義が下されることを恐れるか、正義が下されないことを恐れるかのどちらかだ。本コラムでこの文言を最初に使用したのは、カルロス・ゴーンではなく、ジェイコブ(コビ)・アレクサンダーに関してだった。アレクサンダーは、ストックオプション(自社株購入権)の権利付与日を操作する「バックデート」で起訴されるのを避けるため、2006年にナミビアに逃亡した元IT(情報技術)企業の最高経営責任者(CEO)だ。興味深いのは、当然ながら完全に無実の人物のケースではない。何らかの罪はあるかもしれないが、容疑がかけられた不正行為に見合わない重い裁きを受けることを恐れる人物のケースだ。結局のところ、後に著名弁護士がニューヨーク・タイムズ紙に説明したところによると、バックデート操作を巡る「訴追は、予期していたほど厳しいものではなかった」。少なくとも判事や陪審員は、過熱報道で犯罪の性質が誇張されているとみなすようになっていたためだという。
【オピニオン】ゴーンと「日本株式会社」に残された解決策
双方が醜態を認め、司法取引すべき
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