いずれにせよ米朝交渉で結果が出るにしても、究極的な核の完全廃棄の目標に向かって双方が段階的行動をとるという合意になるだろうし、非核化問題はこれからも長いプロセスになる。

 その間、常に米朝の軍事的緊張の余地は残るということだろう。

米中衝突はあり得るのか?
中国は台湾でもジレンマ

 対中国でも、トランプ大統領は大統領選を意識して貿易関係での具体的成果を急いでいる。

 1月15日にワシントンにて第一段階の米中貿易合意が署名される予定で、農産物の大量買い付けなどについての合意は米国の農業関係者を喜ばせる。

 だが同時にハイテクなどの米中対立の中核部分の合意は遠いことも示すことになるのだろう。

 台湾総統選挙で蔡英文総統が再選・圧勝したことは中国の厳しいジレンマを如実に示すものだ。

 香港で民主化を求める反中国のデモが続くことに対しても中国は「解」を持ち得ていない。

 人民解放軍を送り込んで、事態を強硬的に収拾しようとすれば国際社会から孤立する。それでなくとも経済的にも混乱し減速が目立つ経済成長に打撃を与えることになり、選択肢にはならない。

 香港の住民が混乱に嫌気がさして事態が自発的に収拾されることを期待するのだろうが、9月には立法会の選挙があり、先の区議選同様の圧倒的な民主派勝利になることも想定される。

 香港の状況が追い風となって再選された台湾の蔡英文政権が独立志向をさらに強め、中国と対峙していくとき、トランプ政権はどういう対応をするのだろうか。

 従来の米国の対台湾政策には、中国を抑止するとともに台湾にも自制を求めてきた。これまでのトランプ政権の対台湾政策の傾向は、従来よりも台湾支持の様相が濃い。

 核を持つ米中が直接、戦うという蓋然性は高くないが、台湾海峡をめぐる限定的な衝突の可能性までもが排除されるわけではない。

 トランプ政権下の3年間の対中関係を見れば、貿易関係については「アメリカファースト」の色彩を鮮明にして、貿易赤字改善策を求めるが、戦略的な競争関係は2017年末の国家安全保障戦略に盛られた通り、厳しさを増すばかりだろう。

 一方で中国は台湾問題で引くことはないだろうし、習近平政権は自らの政権維持をかけて台湾に対する圧力を強めると考えられる。米中対決の要素がどこまで強くなるのか。これも米国大統領選挙が佳境に入る夏以降に厳しい局面を迎えることになる。