──例えば、米国に売れなくなったとしても勝てる工場にするには何をしなきゃいけないか、とか?

 そうです。

 うちの会社でも徹底的に言ってるんやけど、われわれBtoB企業は、お客さんの利益の一部を分けてもらって稼いでいるだけなんですよ。だから、お客さんをもうからせるような提案をしないと駄目なんです。

 お客さんにしてみれば、安川の製品を使ったらどれだけ利益になるのか。利益になるなら買いますよ、ということなんですよね。じゃあ具体的にどう営業したらいいのかといえば、露骨に言ったら怒られると思いつつ、いつも露骨に言うんやけど(笑)、われわれは顧客企業の担当者を出世させるために売ればいいんですよ。

 シェアがどうのこうの、いらんこと考えるなと。何でかっていうと、安川のロボットを買ってみんなが出世する世界なんかないんですよ。コンペティターが安川電機のロボットを買いましたと。だから私も安川のロボット買いましたって言って、その人出世します? 絶対しませんよね。相手と同じことしただけやないかと。コンペティターが安川から買ったから、別のロボット会社から買って、安川から買うよりも会社に利益をもたらしますよって人が出世するんですよ。

──でも普通は、シェアが高くなれば利益率も高くなるって考えるわけじゃないですか。

 違う。お客さんの利益が上がったら利益率が上がるんや。シェアなんかどうでもいい。お客さんの利益を考えて、結果的にシェアが上がっているならいい。シェアが高くなったって、お客さんをもうけさせられなきゃわれわれの利益は増えんのやから。

──では改めて聞きますが、アイキューブ メカトロニクスで、顧客の利益は本当に上がりますか?

 上がる。セルをインテリジェントにして、これまで個別に動いていたサーボやロボットの機能分担を完璧にすることで、無駄をなくして適化を図っていく。

おがさわら・ひろし/1955年9月19日生まれ、愛媛県出身。九州工業大学情報工学科を卒業後、1979年3月、安川電機入社。インバータ事業部長やモーションコントロール事業部長、技術開発本部長などを経て16年3月より現職。