トランプ米大統領の弾劾裁判で検察官役の下院代表らは訴追の根拠となる条項を提示した。しかし、これを目にした米国民の多くは、こうした行動について、国民の理解を得られない党派的対応であり、上院で葬り去られるものとして一蹴するだろう。確かにそうだ。しかし、民主党が打ち立てた前例は生き残るかもしれない。それゆえ、われわれがここで、下院の弾劾訴追の論理が、将来の大統領および権力の分立にとってどれほど危険なものか説明したい。特に悪質な点は、下院が新たに設定した、大統領を罷免するに値する「不正な目的」の基準にある。下院代表らは、トランプ大統領の何らかの特定の行動自体が権力の乱用や、法律違反に当たるとは主張していない。彼らは、大統領が外国への援助を遅らせたり、外国首脳に不正への捜査を求めたりできることを否定していない。米大統領はこれまでもずっと、こうした行動をとってきた。下院代表らはその代わりに、第1の訴追条項の中で、「不正な目的」のためにこうした行動をとったためにトランプ氏は「権力乱用」の罪を犯したと主張している。
【社説】「不正な目的」を根拠に弾劾は許されるのか
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